続・ファーストフード店の数からその街が見えてくる
東京では街中どこにも当たり前にあるマクドナルドなどファーストフード店は地方に行くにつれ姿を消していく。それは京都、大阪だって同じことで、おそらく東京近県から遠ざかって行くにつれ、比例して店舗数は減っていくように思える。
当然のことだが、マクドナルドに代表されるファーストフード店はどこも単価が低い商品が中心だから薄利多売の原則が可能か、商圏、エリアリサーチを事前に徹底的に調べ、人の流れを測って儲けが出ると確信してから出店する。京都の大徳寺裏、古川豪さんの薬屋がある新大宮商店街などでは老人ばかりなのと人出が少なくマクドナルドの経営は成り立たないのである。
というわけで、地方都市でコーヒーでも飲んで一服したいときは仕方なく街中の昔ながらの喫茶店に入るしかない。珈琲一杯が安くても350円以上というのが今時の相場だろうか。東京のマクドナルドのコーヒーMサイズは一杯100円だから3倍強ということになる。それが高いか安いか。
思い出してみると自分が学生だった頃も喫茶店で飲む珈琲の値段はそんなものだったような気がする。吉野家などの牛丼チェーンも含めて値段はさほど上がっていない。逆にファーストフード店自体が多く競合することとなって価格競争が起きてご存知のように今では昔より安く100円からハンバーガーなどが食べられるようになった。今の特割だと午後の時間帯だとコーヒーとハンバーガーのセットで150円であった。
しかしそれは資本がある繁華街のチェーン店だから可能なことであって、考えてみると喫茶店の珈琲一杯350円というのは今では決して高くない。価格破壊が当たり前になって何でも100円ショップで買えるのが日常的な時代では高いと思ってしまうがそれが本来の値段であった。
そして地方ではだからこそ昔からの喫茶店が潰れず成り立っているのである。町の人々はその店を地域の溜まり場、憩いの場として一日に一回は顔を出したわいもなく時間を潰す。東京でもはや街中には個人経営の喫茶店などマクドナルドなどの進出により客を奪われほとんど姿を消してしまったが、地方においてはファーストフード店がないことにより幸い逆に生き残っている。
翻って地方都市の商店街の衰退を思うとき、その一番の理由は人口の減少と高齢化ではあるが、ちょっと離れたところにジャスコやイトーヨーカドーなどの郊外型の、衣料品まで何でもある巨大スーパーができてしまい、車のある消費者は週末にそこで飲食と買い物をして金を落とすので、昔ながらの街中の小売店はますます閑散とさびれてシャッター商店街となっていくばかりなのである。
★隣町八王子市の昔ながらの古い商店街にある戦前から続いている個人商店群。しかし今は八王子自体が地盤沈下が続いてこの商店街も風前の灯火と言えよう。八王子は古い街道筋が残る往時栄えた町であり、昔からの風情ある店がまだかなり残っている。古いもの好きの方は連絡くだされば増坊が案内いたします。