憲法は押しつけられた論と鈴木安蔵
説明が遅れたが昨日のこと、地元の市民会館大ホールで、映画「日本の青空」の自主上映会があった。憲法問題に関心がある自分としては、憲法草案作成に深く影響を及ぼしたと近年スポットが当てられている憲法学者鈴木安蔵を主人公にして憲法成立までの過程を描いたこの映画は必見だとずっと待ちかねていた。その映画の感想と観てから考えたことなどを少し。
憲法改正論者が「改正」の理由として挙げる主な理由は、一つは憲法は出来てから年月が経ち今の社会情勢、現実に合わないから、というのと、もう一つ、戦勝国アメリカに一方的に押しつけられたものだから、という論がある。どちらもなるほどと一理はある。
だが、その押しつけられた論だが、安倍前首相をはじめ、そう言いつつ一方では、戦後60年以上もずっと対米従属、アメリカ一辺倒の政治を是として、日米軍事同盟で一体化となり、多額の思いやり予算を献上し、世界からはわが国はアメリカの属国、忠犬ポチと揶揄されているのだから、憲法だけ押しつけられたと声高く唱え問題とするのは極めて奇異なことではないか。
そして戦後も60年以上過ぎても未だ沖縄を筆頭に全国各地に広大な米軍基地が数多あり、占領下そのままに駐留している現実を見るとき、憲法改正は、まず第一に米軍が日本から完全に撤退し、真の独立国となってから、改めてそのとき考えるのが筋のように思える。
実際のはなし、今の憲法改正を強く望んでいるのはアメリカであり、アーミテージ氏などもあからさまに、日本も憲法改正し、九条という足枷をなくして、米軍と一体となって戦闘行為ができるようになることを期待する発言をしている。これもまたアメリカの押しつけではないのか。良い押しつけと悪い押しつけがあるとでも言うならば、それこそ自らに都合の良いタメにする論でしかない。
いずれにせよ、憲法とアメリカとはその成立から今日まで今もなお密接に関係している。果たして今の憲法は国民の気持ちを無視してアメリカから無理やり一方的に押しつけられたものなのだろうか。そのことを検証するための映画が「日本の青空」であった。《長くなるのでもう一回だけ続きます》