家作りのために京町家を見学してきます
東京では今朝から数センチだが積るほどの雪が降った。去年は一度も降らなかったはずだから本格的な雪は二年ぶりだと思う。しかし、午後からは雨に変わってしまい、そぼふる氷雨のせいか、とても寒くて室内でも氷点下近い。かじかんで震える手でパソコンに向かっている。
さて、先に少しだけ希望的予定を書いたこともあったが、明日の晩から数日間、このブログはお休みとさせてもらって、冬の京都に出かけてくることになった。なかなか発表できなかったのは、親たちの体調が最優先で、とくに今が一番寒い最中なので、風邪ひいたり入院騒ぎを起こしてたら即中止にしようとギリギリまで様子を見ていたのだ。ご理解願いたい。
この数年、私ごとだが増坊は、高田渡死後毎年のこと、5月の連休には大阪での「春一番」コンサートを見物しに、関西方面を訪れるのが恒例行事となっているのはご存知かと思う。その行きかえりに京都にも立ち寄って、友人と会ったり、錦市場をぶらついたりと1日~2日は時間を工面してついでに訪れていた京の町だったが、毎度慌しく、あたふたと駆け足でしか過ごせず心残りの思いがつのっていた。
そこで、今年は春一番に行くか行けるかはともかくもそれとは別に、一度きちんと京都だけを訪れて、街並みをはじめゆっくりと京都を観光してみたいと考えていた。今回その一番の目的は、伝統的日本建築である京町家の見学である。
「家作り」に関して先に書いたことだが、基地の町でアメリカかぶれで米軍ハウスで育った自分だったが、いつしか歳と共に建物の好みや生活志向も変化してきて、やはり古い年代ものの和風住宅への憧れがこのところ高まってきている。もちろん、そんなしっかりした和風建築は予算的にも技術的にもとても今では建てられない。が、機能的かつ簡便質素な間取りや暮らし向きを知ることは何らかの今後の自分の生活や人生に大きく影響を与えてくれるような気がしている。町家風の家を建てたいというわけではないが、いくつか実際にこの目で見てきて、何らか少しでもその利点や長所を取り入れて今後の家作りや実生活に役立てられたらと考えている。
実は、似たようなことは文人でも考えた人はいた。「放浪記」で知られる林芙美子である。彼女が作家として成功し、自ら念願の家を建てるに当たっては、百冊の建築関係の本を読み、自ら大工を率いて京都に赴き、実際に京都の和風建築を数多く見学して参考の上に建てた住まいが今も新宿区に残っている。決して豪邸ではないが、小さいながらも和の伝統を取り入れつつモダンかつ機能的な和風建築で、今は彼女の記念館として無事保存されている。先年、そこを訪れたことも今回の京都行きにどこか繋がっていることに気がついた。
林芙美子記念館 新宿区中井2-20-1
室内には見学者は上がれないものの、内部の様子はここのホームページで見ることができます。しかし、芙美子は残念なことに早くして急死したため、実際は僅か10年しかこの家に住むことはかなわなかったという。建築及び文学に関心ある方はぜひ一度は訪れてみる価値がある建物です。