がんばれ朋ちゃん!
ものを書き、ものを生み出す作業の作家は未来へと向かう仕事であるとするならば、古本屋とは過去と向き合う仕事に他ならない。
家の片付けの一環として、マンガ雑誌の山を動かしていたら、左の雑誌が出てきた。青年向け週刊マンガ雑誌、集英社のヤングジャンプ1995年8/3号である。
表紙の女の子は、華原朋美さんで、このところスポーツ紙や芸能番組などでは、事務所を解雇されたと話題のあの朋ちゃんの若き日の姿だ。作業の手を休めてしばし感慨深くその水着グラビアをめくってしまった。
個人的には特に好きな人でもないが、グラビアアイドル時代、それも前身の遠峯あずさと名乗っていた不遇時代から知っていて、とりたてて美人ではないが、完璧なプロポーションには注目していた。そして、いつの間にか歌手に転進し、一時はあの小室哲哉の恋人だとか報じられ、J・ポップの世界ではトップアイドルシンガーとしてまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの頃もあった。
驚いたのはともかく歌がうまい。伸びのある高音は並みのアイドルの余業ではなく、天性の才能を感じさせた。たとえて言えば本田美奈子と並ぶと言ったらおおげさか。
当時思ったのは、天は二物を与えずと言うのに、こんなにかわいくて、スタイルも抜群、そして歌もうまいとは神様は何て不公平なのだろうかと恨めしくさえあった。ところがいつしか人気は失墜。気がつくとNHKなどで地方ロケ番組の司会なんかやっていて、歌番組ではとんと姿を見せなくなってしまった。
芸能誌だと元々精神的にかなり不安定なところがあるトンパチな人とのことで、今回、事務所を解雇された理由も、睡眠薬など薬物依存と品行不良が原因だそうで、もはや芸能界復帰は難しいとも書かれていた。
まさに栄枯盛衰の見本のような人である。1995年はまだ10年ちょっと前だが、その朋ちゃんのビキニ姿を久々に目にして隔世の感を覚えた。現在まだ32歳。水着やヌードにならなくても良いから、ぜひとももう一回、一花も二花も咲かせて、復活してきてほしい。あれだけの歌の才能をこのまま埋もれてしまうのはあまりにも惜しいと考えた。