アウゲイアス王の牛小屋状態
毎日家にこもって片づけをしていると、ふとギリシア神話の中の、ヘラクレスのエピソードが頭をよぎる。
その王の家畜小屋は、3000頭の牛がいて、30年間一度も掃除をしたことがなかったという。勇者ヘラクレスは想像しただけでも凄いことになっている、その小屋の掃除を命ぜられ、3日のうちに全部綺麗にしなくてはならなくなった。そこで彼は奇跡的にある名案によってその難題を解決したのだが、どうやったかは本を読んでもらうとして、今の自分の状態はまさしくこのアウゲイアス王の牛小屋だと思う。
30年間、掃除をしなかったというのもほぼその通りだし、牛のかわりに3000冊の本があるわけだ。本は牛と違い繁殖はしないと思うのは素人の考えで、本もまた生き物であり、気を許すとすぐに増殖してしまう。それどころか今は、王様ならぬ大工の手前、牛小屋ならぬ本の倉庫と化した部屋を早急に全部綺麗にしなくてはならない。ヘラクレス的アイディアで片付くなら良いのだが、本は紙であり、紙は水に弱いから牛ならともかくどんな勇者も本にはお手上げに違いない。
では、その片付け、「本の処理」とはどんなふうにやっているのか。
今の自分にとって本とは三種類しかない。売れる本と捨てる本、それに売れないが捨てられずにとっておく本だ。そのことは以前にも書いたが、さらに状況は苛烈している。今はただひたすら未分類の本を、その三つに選別し、アマゾンで売れる本はそのまま出品し、低価格で売れても儲けの出ない本はブックオフなどに持ち込むか、程度の悪い本は紙ゴミとして出す。それ以外の本、つまり売り物にはならないが、捨てるにもしのび難い本、それは結局のところ自分が読みたい本なのだが――それらは紐でくくって借りている倉庫に移動させる。
これを日々パソコンに向かい多い日は100冊ぐらい検索かけて相場を調べ仕分けしていく。それでも3000冊?の本の山だから減っていくとしても微々たるものでうんざりして気が滅入ってくるのである。どこかにうまい知恵のある勇者はいないものか。