憲法改定のための法案を取り下げろ!
このブログを見てくれる人ならご存知のことだと思うが、温家宝中国首相が来日、国会で記念演説をし、日中友好ムードがにわかに高まった中、一方では問題の国民投票法案が本日12日、衆院憲法調査特別委員会で自公により強行採決され、成立してしまった。
私ごとではこのところの不順な天候で体調を崩し、風邪気味なのだが予定を変えてもこの法律について書かねばならない。でないと、増坊には子供もないが、孫子の代まで禍根を残すことになるからだ。
新聞報道などでは、明日13日衆院本会議で可決し、今国会での成立はほぼ確実だとされている。ということは、数年後には、現在の憲法、中でも第九条を中心に「改正」ならぬ、改悪されてしまう。国民自身が投票により結果を決めるのだから、国民の権利が高まり良いことだとの意見もあろう。だが、とんでもない。現在の憲法が良いか悪いかの是非は別として、この国民投票なるものそのもの自体が大きなまやかしなのである。
増坊が最も問題だと危惧するのは、有効投票の過半数で、国の最高の法律であり、すべての法律の根幹にあたる憲法を簡単に変えてしまえるという仕組みなのだ。子供はともかくも成人、つまりすべての日本国民=有権者の半数以上が賛成したから変えるとかいうなら理解できよう。
ところが、近年の国政選挙などから判断すると、今や有権者の半数近くは選挙に行かない、つまり投票行動をしないということが予想できる。もちろん、選挙をボイコットするというのも一つの意思行為かもしれないが、大方は無関心のままで、結果として、多くの国民の意思が本当に反映されないところで大切な憲法が変えられてしまう。そのことが何よりも問題だし一番怖いことではないか。
例えばの話、投票率が50パーセントだった場合、日本国民の2.5割強の人々の意思で、国全体の最高位かつ最重要の根本となる法律が変えられるとは世界の常識としてもあってはならないことではないか。増坊は憲法や政治について素人だが、憲法というものこそもっと慎重に議論を重ねて国民全体でどう扱うべきか改正問題も含めて時間をかけて討議すべきものだと考える。それを公聴会で「拙速だ」との意見が多数出る中、大慌てで強行採決に踏み切ったのは、改悪を目論む輩の暴挙としか言いようがない。まさに数を頼りの驕りである。
戦後60年間、何はともあれ続いてきた憲法を何故に今頃、我々の世代になってしかもこんな安直かつデタラメな「国民投票法」なる改定側にとって変えるのに都合の良い、それこそタメにする法律でもって、改悪しようとするたくらみを絶対に許してはならない。
増坊が哀しく思うのは、この法案の成立自体がマスコミの扱いも小さく、おそらくたぶん、政治に関心のない人、ニュースなど見ない人にとって何一つ知らない関心のないことだ。そして、この法律は成立し、さて実際に選挙のそのとき、改憲勢力は、マスコミを巻き込んで大々的に宣伝しまくるはずだ。「現憲法は時代にあっていない。そもそもアメリカに押しつけられたものだ。日本国民の手で自分たちの憲法にしよう!」と。そのとき、あの郵政民営化選挙のときのような風が吹けば、それまで憲法について何の関心もなかった若者たちでさえも何となく踊らされて、初めて投票に行き、その意思が反映される。それも結果だ? いたしかたないか。国の将来にわたる命運がそんな簡単に安易に決められて良いものか。
ブログで一人こんなことを書いても何の反応もない。所詮蟷螂の斧なのか。