ビデオテープの話・ベータの悲哀
このところ、家の改築のために、ボロ家を壊す一環として時間があるときは、せっせっと部屋のガラクタの片付けと移動に専念しているのはブログに何度も書いたのでご存知のことだろう。
本や趣味で集め続けているレコード類が沢山あるのは、当然であり、覚悟の上だから驚きもしないが、ビデオテープやカセットテープ類が予想したよりも膨大に出てきて、捨てるに捨てられず自分でも驚きかつ呆れ果てている。結局、一度も引っ越しとか大掃除とか意識して捨てる機会がないままに、何十年もぼんやり暮らしていると、自然にこんなに溜まるものなのかと思い至った。
所謂コンパクト・カセットテープ、つまりオーディオカセットについては、以前にもTDKのそれについて書いたことがあったので、今回はビデオテープについてまず書くことにしよう。
増坊の家には、いったい今ビデオテープが何百本あるのだろうか。VHSだけではない。最初はソニーのベータ派だったから、ベータのテープも未だデッキも持っている。今正確な記憶がないのだが、いつ自分はビデオデッキを買ったのだろうか。おぼろげだが、確か、NHKの放送開始30周年だかで、昔懐かしい番組を再放送する特番があって、それを録画したくて買ったように思えるので、2003年が、50周年だと判明したので、逆算すると20年前は、1983年。その頃にベータのデッキを買ったことになる。70年代末には持っていたような気がするが記憶も曖昧なのだ。きちんと確認しないと。さておき。
βとは、何のことか今の人は知らないかもしれない。今では、家庭用ビデオテープは、VHS方式のカセットテープしか存在していないが、かつて、市場に出始めた頃は、ソニーが開発したベータマックス方式と、ビクターのVHS方式の2タイプが平立して販売されていて、ユーザーはどちらを選ぶか思案のしどころだった。テープの幅は同じでも二つともカセット自体のサイズが異なり、ベータの方が一回り小さく当然互換性はない。
一説に、ベータの方が画像が綺麗だと言われ、当初はベータ派が優勢だった。増坊も世界のソニーのファンだったから迷わずベータを選んだ。というのは、当時、周囲の人たち、流行に敏感な進んだ人たちはみんなベータだったということもある。業界も、ベータ派とVHS派とで二分され、東芝、三洋は、ベータ。シャープ、松下、日立などはVHSと両派しのぎを削り、結局、ベータはしだいに衰退し、最後はソニーだけが孤塁を守っていたが、ついに撤退し、VHS転じて、この世からベータのテープもデッキも完全に消えてしまったのだ。
そのベータのテープが、未だ増坊の家に何百本もある。先日、デッキで再生してみたら、幸いまだ見れた。主に80年代の音楽番組や映画、ドラマなどが中心だ。小林克也のベストヒットUSAなど毎週録っていたのでそんなに溜まったのだろう。さて、こいつをどうすべきか。20年以上も年月が経つと、番組そのものよりも間のCMの方が感慨深く面白い。そちらの方こそ価値があるようで、おいそれと捨てられなくなってしまうのである。
そんなことを言ってたら家はいつまでたっても建たない。