どんなことでも相手がいてこそ
何だかんだ言ってもやはり料理は好きなんだと思う。食べることも含めての話だ。
その証拠には、売れるかどうかは別として、ウチには料理に関する本が山ほどある。絶対売れそうにない古いものでも思い切って捨てられないのは、関心があるからだろう。そうした本をめくって、見知らぬ食べたことのない料理に思いをはせるのも読書の楽しみの一つだと思える。
レシピを見れば、その料理の味が思い浮かび、だいたいどんな味なのか想像がつく。考えてみると料理と音楽はとてもよく似ている。音楽の世界では、「読譜」というのがあるようだし、譜面からその曲を弾くことだって可能なわけで、料理も基本のレシピを元に、作り手(演奏者)がそれぞれ独自に味付け、つまりアレンジしていくわけだ。
今、増坊の家には、先年オーブン機能付き電子レンジが壊れて以来、オーブンと呼べるものがない。せいぜい安物の電気トースターだけだ。それではパンもクリスマスに鶏も焼けやしない。一日も早く新居が完成してキッチンも整ったらば、本格的な大きくどっしりとしたガスオーブンを買おうと考えている。
そこで時間が出来たらの話だが、ケーキなどのスイーツは面はゆいが、いろいろな種類のパンや、クッキー、マフィンなどを焼きたいと夢想している。手前味噌と言う言葉があるように、たとえ形は悪くても、市販のものではない、手作りの安心できるパン類を常時家で作れるのが理想なのだ。余談だが、実際、増坊宅の味噌は毎年寒仕込みの手作り味噌だし、梅干し漬けとキムチ作りだけはどんなに忙しくても季節ごとの年中行事なわけで、その延長にパンがあるのだ。
しかし、すべては誰でもいいが、それを食べてくれる人がいての話なのである。自分一人だけなら作ってもカイがないではないか。