エロとおしゃれとゲームこそ民主主義
これは、鹿島茂氏が以前に新聞紙上で語っていたことだが、今それも手元にないので正確ではないかもと思うが、イラク戦争に関して、アメリカが失敗した原因について興味深い指摘をしていた。
氏曰く、その地に民主主義を根付かそうとするならば、武力によって高圧的に統治するのではなく、次の三つを空からばらまいてでも男女子供それぞれに与えれば良いと。それは、男にはエロ本、女には化粧品などのオシャレグッズ、そして子供にはゲーム機器だ。これらが普及すれば抵抗運動は収まり人々は従順に民主主義を受け入れるだろうと。
暴論、極論のように思われるが、民主主義というものの本質を突いていると感服した。というのは、日本の場合、まさにこれが成功し、皇民は終戦と共に骨抜きにされ、戦時中は封印されていたエロは解禁となり、女はオシャレを許されて強くなり、子供たちにはまずお菓子がばらまかれたからだ。そしてこの三つの自由は民主主義と同義語となり、今日に至っているのは言うまでもない。
今だって、本、雑誌類を大別すれば、この三つにほとんど分けられるはずだ。男性向け雑誌は巻頭グラビアを載せるなどエロがまず基本にあるし、女性誌では化粧、ファッション関係の記事がない雑誌はありえない。また、ゲーム雑誌も近年多く出ているが、所謂攻略本市場はバカにならないニーズがあり、ウチでも常に最も売れるのは、ゲーム攻略本である。それに今日、コミックスという新たなジャンルを加えれば、現代の日本社会は語り尽くせると思う。男女子供それぞれの本能的要求を満たすもの、それらを載せた雑誌が自由に多種存在し流通する社会こそ自由主義、民主主義なのだ。
辺境の国やイスラム社会にはこの4つがまだ広く行き渡っていない。これらが解禁となれば、厳しい戒律や国家に対する忠誠も腰砕けとなり、民主主義という制度を受け入れていく下地ができよう。
思うのだが、どこそこの独裁主義国家とも一日も早く国交を結んで、日本から観光客が沢山訪れてエロやおしゃれを含む最新情報をその地にもたらせば、国民が目覚めてそんな体制はすぐさま瓦解するに決まっている。ミサイルなどの兵器を用いるよりもエロやオシャレの方がよほど安全でかつ効果的ではないか。