雑誌こそ時代を映す鏡
このところ、倉庫の溜まった本の山をよんどころない事情でせっせっと片付けていたら雑誌も沢山出てきた。中には既にもう出ていない「休刊」つまり「廃刊」となった雑誌も数多くあり、本にはあまり感じない気持ちが湧いてきた。それは時の流れ、つまり懐旧の情のような感慨である。
本だってベストセラーとなった本の場合、そうした「懐かしさ」を感じることもある。しかし、繰り返しになるが雑誌こそがその時々の時代とより密接に結びついているので、後になってそれを手に取ると、ひどく懐かしく時の経過を強く意識せざるえない。
我々はあまり意識せず、雑誌というものは、当たり前のように出続けて、これからも出るものだと思っているのだが、20年も30年も誌名も内容も変わらずに続いて出る雑誌の方が稀なぐらいで、普段何気なく買い続けたり、電車内の中吊りや書店で目にする雑誌などはそうしたごく一部の成功例なのである。その影には新しく出ては1年足らずや続いても10年満たずに、あるいは一時代を築いたのに「休刊」してしまう雑誌が山ほどある。
個人的にも平凡パンチやGORO、ポパイ、宝島など若いときに出逢い、大きな影響を与えてくれた忘れがたい雑誌も数多い。雑誌好きの者としてそうした忘れ難き雑誌についておいおい語っていこうと思っている。そして、雑誌こそは時代を映す鏡だから、それぞれの雑誌を通してその雑誌が出ていた「時代」をも探れたら本望である。
★これらは戦後すぐのラジオ雑誌。
左は昭和22年7月号、右は昭和23年8月号。戦後とはエロとカストリ雑誌ばかり多く取り上げられるが、実はラジオなどの電気技術に対する知的要求も高く、こうした専門誌も出ていたことがわかる。そして、この技術から世界のソニーなどが生まれ、高度経済成長時代へと向かっていくのだと思う。