通販の場合、書き込み本はトラブルの種
古本屋に限らず素人個人でも本を“売る”場合に一番注意しなくてはならないのは、本の状態、中でも特に本に書き込みや線引きがあるかどうかだろう。自分の持ってた本ならわかるが、他人の読んだ本だとよほどよく確認しないとトラブルの元となる。通販の場合、モノが直接手に取れない分だけ状態については細心の注意が肝要である。
新しくて綺麗なものに人気があり価値をおくのは、本だけでなく人も含めてこの世の習いだからできるだけ“新品同様”“非常によい”状態なのが一番良い。表紙やカバーなど本自体が美本でも中に書き込みがあり、鉛筆での線引き程度なら消しようもあろうが、ペンでしっかり黒々と、あるいは目も鮮やかなマーカーで何行もなぞられてしまうと、それだけで価値はほとんどなくなり売り物にはならなくなってしまう。
そして、何よりも問題は、売った本にうっかり見落としがあって、そうした線引きや書き込みがあった場合のことだ。実際の店で、店頭での販売ならば客が自分で手にとって状態を確認して買うわけだから“自己責任”で売り主には問題がない。ところがネットも含めて、通販の場合、一番怖れるのは売る側はうっかり見落としていて後で気づいた客からクレームがつくことだ。さらに、自店舗売りなら、ことは店と客の当事者間で折り合うこともできるが、これがアマゾンをはじめネット上のマーケットの場合、その客から店の「評価」や「成績」がつけられてしまう。
ウチの店は今のところはアマゾンでこの一年間の評価は、オール5で、100%の高評価を頂いているが、以前も書いたことかもしれないが、かつてはある本が原因で「1」を付けられたこともある。それは売った本の版がカタログのと違っていたのと、それよりもその本に書き込みや線引きなどが沢山あり、「非情に汚く、売り物に価しない」と極めて手厳しい抗議を受けたからだ。1年以上も前のことだが今思い出しても苦い思いがこみ上げてくる。