≪前回の続き≫ アマゾンでの買い手は、S新聞の支局の方。発送先も新聞社だから記者だと思われる。迷った。本は一冊しかないのだからどちらかをキャンセルにしなくてはならない。アマゾンの方は代金先払いだから取りっぱぐれはない。それに新聞社なら仕事に役立ててもらえる。個人だともしかすると代金が振り込まれないかもしれない。悩みに悩んだ。しかし商売として、やはり先に注文頂いたのは、長野の方だし、こちらに入ってくる利益は、手数料などアマゾンに引かれる分など計算すると、自店舗売りの方が儲けがある。結局、悩みに悩んだ末、S新聞さんの方には、極力丁寧にお詫びのメールを送り返金処理しご容赦願った。
果たして、この値段がこの本に対して適正だったかわからない。もう少し高値をつけてもやがては売れたかもしれない。ただ、あまり欲出すと、それこそ売り逃していただろうし、正直なところ、この本が手元にあると気が気でなかった。元より高値で仕入れた訳でもない本なのだから、いくらで売れようと損はしないのだが、気分はまるで相場師であった。精神衛生上甚だ良くない。まあ、ともかく売り切れて良かった。手元になくなってようやくほっとしている。むろん本は送る前に一晩かかって読み終えたことも付け加えておく。これが11月12日の話だ。
そして…。今日、久々にこれを書くに当たって、アマゾンでこの本を検索してみた。そしたら、!1575円で新品が販売されている。前は絶版だったから、例の事件で版元が大急ぎで再版を増刷したものと思われる。装丁も版型もまったく同じだ。そして、中古を出品している方は、というと、下は2000円から上は2500円まで、たったの3冊。それでも新品が出てしまってはもはやなかなか売れないと思う。
今回はギリギリセーフで売り切ったということなのか。嬉しいか? 高値で売り抜けて良かったとは思うが、何度も書いたが複雑な気持ちである。これでにんまりほくそ笑むのが本当の商売人なのだろうけれど。