正しい古本屋への道すじ
ネット古書店で、自前の本が売れたあと、どうやって新たに本を仕入れるかについて何回かに渡って書いてきた。
この三つの他にも方法はないこともない。事実、増坊自体はこれに当てはまらない。他の方法として、人伝てに、友人知人を頼って不要本を募って集めたり、廃品回収や古紙回収業者と懇意となり融通してもらったり、また自らが紙ゴミの日、つまり古紙回収の日に集積所を回って拾い集めたりと工夫の余地はかなりある。だがいずれにせよ、コンスタントに入荷する保証はないし、だいいち望む本が手に入るわけでないことは当然のことだ。これらはあくまでも時の運、偶然というなりゆきなのだから。なお、増坊の場合は、元手の本は脚本家を生業としている友人からの寄贈からだった。それがネット古本屋を始めるきっかけだった。そして未だにその本は売れ尽くすどころかまだ全てアップし終えていないのだ!
となると、本気で手広く商売をやっていこうと望む者は、、しっかり市場で仕入れをするべく、やはり古書組合にきちんと入ることを模索していくはずだ。初期費用はかかったとしても一番確実で入荷は安定し廉価ですむのだから。実際にネット古書店でも在庫数常時千点以上の品をリストに掲載している店はまずおそらく組合に加盟しているだろうし、この業界で名の知れた店は当初は買い取りやセドリで名を馳せても最終的にはどこも組合に入り市場から仕入れている。そしてゆくゆくはインターネットというバーチャルな店ではなく、実際のリアル店舗を開きたいと多くは考えているはずだし、既に開店した人も何人もいる。ということは一般的に考えるに、“正しい古本屋への道”というものがあるように思える。ネット古書店を始めた人の多くは、本が売れた後でそこで、さて、これから仕入れも含めてどうやっていくかと考えるときが来るのではないだろうか。
実は増坊もこの商売のこれからについては最近まで悩んでいた。今はまだ在庫は不良か優良かは問わなければ十分すぎるほどあるし、その整理と処分に頭を悩ましている段階だから、将来も何もないのだけれど、やはり仕入れも含めて最終的にはどうしたいのか、そのビジョンが定まらず迷っていた。古本屋として正しい道があるはずなのだが、それを歩むのに何が躊躇させるのか。自分なりの古本屋の夢が描けずにかなりの間悶々としていた。今はとりあえずの方針と今のところの解答も出たから過ぎたこととなったが。