PC-8201.をめぐる物語・下
というわけで、これらのメールからもKさんのこのPC-8201に寄せる熱い思いが伝わってくると思う。増坊には彼の気持ちが同世代として実によく理解できる。夢は諦めずに見続けることだ。いつの日かきっとそれはかなうということが図らずとも実証されたと思う。何よりも僕も嬉しいのは、彼の思いをかなえるために少しでもお役に立てたことだ。これからも彼のコレクションという夢実現の一助となるべくできるだけお手伝いをしていこうと思っている。
正直なところ、未だに自分のやっている商売に自信も肯定も強く持てず、これからのビジョンが描けずにフラフラ迷い悩むことばかりの毎日なのだが、こうした“出会い”があり、それが本によって、もたらされるとすれば、この仕事もまんざら価値のないものではないと、これを機に改めて考え直した。商売にはツライことや面倒なこと、そしてイヤなことがままある。そもそも自分には向いていないのでは、と常に後ろめたい思いもある。でも、この日本のどこかに、自分と似たような思いやこだわりを持つ人たちがいて、その人たちと僕とを結びつけるのもまた商売を通して、つまり一冊の本を通してでしかないのだったら、その出会いのためにも続けていくしかないだろう。
先に、このブログで、本未着のトラブルについてついグチをこぼした時、それを読んで励ましのメールを送ってくれたのも実は、このKさんなのだ。本はいろいろな出会いをもたらしてくれる。古本屋という商売を始めて良かったと思えるのはこうした思いもかけぬ出会いがあるからなのだ。
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追伸
先日Kさんから届いたメールによると、あろうことか、愛機PC-8201の液晶画面が消えてしまった!という悲報が届いた。古い機械だから液晶だけ交換などできないと思うけれど、もし何らかの対策、修復方法などご存知の方がいらしたら、ぜひともご教授お願いいたします。