商売に励んでしっかり稼がないと
疲れが出たのか、ずっと天気が悪く冷え込んだせいか風邪っぽい。
不安と困惑という悪い感情から切り替えて、ともかく人生をまた動かして先へと進めていかねばならないと誓ったのだが、病人中心の生活はなかなか気分まで変えられない。とりあえず今家にいてできること、やるべきことといったら溜まった本を検索にかけて、値がつけばアマゾンに出し、値がつかなくても保存する本と、ブックオフなどに持ち込んで処分する本とに別けることぐらいだ。今はともかく商売に励んでしっかり金を稼がないとと思っている。
というのは・・・。犬の治療費がこれまでに、入院したときのがまず5万円、それから朝晩、点滴を打ちに連れて行ってたときのが5万円と既に10万円を越えて、このところは病院通いは間が空くようになり薬だけの投与で済んでいるけれど、これからもまた何万円かかるかメドが立たない。そもそも犬には保険がないし、命のためにはいくらかかってもかまわないと考え、その医師の治療のおかげで今何とか助かっているわけで、その金額に異論も文句も全くないが、予想外の出費にさすがのノンキ者もこれでは大変だ、何とかしないとと思うようになったのだ。
ご存知のように、古本家業の方は、自分の志向と嗜好が音楽のほうにシフトしてしまってからは、すっかり音楽の影に隠れて二の次となってしまった。だからネット上の自店舗も休業したままだし、かろうじてアマゾンで実用書、専門書の古書の類を売っては糊口を凌いでいたのだが、それも出品数を新規に増やすことも怠っていたから売り上げは低下する一方であった。それでも何とか生活ができているというのは、恥を隠さず正直に告白すると、実家、つまり親の家に暮らしているから家賃、食費などが基本的にかからないからで、そもそもそんな恵まれた甘い環境で、家の事や老親の面倒を見るという口実で能天気に好き勝手なことをあれこれやってきていたのだ。それにプラスして家の工事のこともあって、そちらにも時間がとられ商売のほうは本は溜まり増えはすれど身が入らない有様だった。
だが、こうして思わぬ出費があると、少ない貯金も減る一方だし、将来のことを考えると老犬、老猫、老人とこれから病院通いが目白押しなのは必然であり、もし長期入院などの事態ともなればまた高額の治療費が必要となる。今回ロビンの病気からようやくそのことに思い至り、贅沢も無駄遣いもしてはいない身でも、これからに備えてもっとお金を溜めねばと考えるようになった。今さら、外に出てバイトなどみつかるはずもないし、まして今は家をほとんど空けられないのだから結局古本を売りさばくことでしか金は入ってこない。
しかし子供の頃からの近視にこのところ老眼の悪化で、視力が極端に低下して、もはや本のページをいちいち繰って書き込みはないかと確認することもかなり苦痛となっている。こんなに近くも遠くも見えないならば、もう目を使うことは無理ではないかと思っている。でもこれしか自分には稼ぐ道がない。今はメガネをとっかえひっかえしながら本の状態を確認し、マーケットプレイスに新たに本を出品し続けている。まだ、その反応は返ってきてはいないが、まずともかく自分にできることを懸命にやるしかない。これも今回の件で、また新たに気がつき思いなおした収穫と言えようか。
冬を前にして、遊び暮らしたキリギリスもさすがに青くなってきたという次第だ。外は台風が近づいてきたようで雨風が激しい音を立てている。