アマゾンにおける市場原理
当然のごとく今日の社会は旧社会主義国のような統制経済ではなく、自由競争の市場原理で動く経済だから、すべてのものが“神の見えざる手”で動いている。古本市場もその例外ではない。先に、古本の世界には、本相応の相場はもはやないが、法則のようなものはある、と書いた。アマゾンに置けるその法則について考えてみる。
アマゾンの運営するマーケットプレイスはとてつもない巨大市場だから、膨大な数の本が、いや、本に限らず売れるものなら何でも出品されている。そこでの古本の価格はどのようにして決定されるのだろうか。
Aという本を売ろうと思う。でもいくらの値をつけて売るべきか、まず検索してみて、同じ本のアマゾン市場での相場を知る。300円から1500円まで6冊並んでいたとする。さて、いくらとするか。もちろん本の程度もそれぞれ違う。手持ちの本が極めて良い状態なら1500円よりの価格、もしくはそれ以上の値をつけても良いだろうし、かなり悪い、かろうじて売ってもトラブルにならない程度のものなら、300円に近い値段、あるいはもっと安くするしかないだろう。
こうして出品の際の値段を決めるわけだが、多くの出品者が皆こうしてまず相場をうかがい、価格を検討し時と状況に応じて随時値段を調整しているのは間違いない。たまに、全然相場を無視したバカ高値で常に出している店もあることはあるけれど、そうした独自の値付けが功を奏することはあるのだろうか、増坊にはわからない。
こうしてそれぞれの本の値が決まり、それらが集積されて市場が成り立っていく。市場に大量に出回っている本は当然値段は安くなるだろうし、すでに絶版、現在品切れ中の本は高値が付くのも当然だ。そしてこれに、需要の程度も関係してくるというわけだ。どんなに希少な本であっても誰も求めていない本は売れるはずがないから安くせざるえない。アマゾンでの本の値段はこの微妙なバランス関係の上で常に変動している。