本に相場があるのだろうか
本、新品は定価がついてるから売値はいやでも決まってしまうが、古本を売るときに一番頭を悩ますのが、値段の付け方だろう。高かったら売れないし、安いとすぐ売れるだろうが、商売人としてはあまり嬉しくはないはずだ。ある程度高くつけて、それで売れれば御の字だし、売れなかったらしだいに値を下げ、最後は処分価格で、という展開もあるかもしれない。お客という相手あっての話だから、一番よいのは、客にとって満足する買値で、店にとっても儲けある売値ということだが、そんな双方にとって良い話はめったになく、商売というのは、結局はこの双方の狭間で絶えずせめぎ合うポイントを探っていくことのように思える。
今でも本の値段には自信が持てない店主増坊だが、ネット古書店を始めた当初はまさしく暗中模索で、全然値段の指針がないから途方に暮れてばかりいた。良い本だから高く売りたい、売れるはずだと強気の値付けをする。するとそれらは売れずに、価値がわからないからテキトーに安く値をつけたサブカル本などは、他の古書店主たちが目ざとく見つけ、よってたかってセドリされたりとずいぶん勉強させられた。今はある程度、どういう本なら動くのか、つまり売れる本なのか、少しはわかってきた。まあ、それも半年以上アマゾンで多種多様な本を並べてみて、そこで得た経験によるものが大きいのだが。
本に相場はあるのか。昔、戦前や戦後はあったかもしれないが、今はないと思う。特にブックオフのような大型新古書店ができたり、アマゾンや楽天のようなネット上の商店で素人でも誰でもすぐに本が売れるようになった今日では。古本屋という専門性が完全に崩れた今、相場はもはやない。だけれども「法則」のようなものはある、と思う。