猫輔さんと岡大介のライブもあって
閑話休題。 昨晩は、結局無理を押して高円寺・コクテイルについに行ってきた。
“ついに”と言うのは、以前からその名はよく見聞きし、拙ブログでも度々書いてきたからで、いつかは行かねば、とずっと懸案であったが、いろいろあってなかなか行く機会と気持ちが固まらず、迷っていたが、友人たちのライブとあれば行かねばならない。実際、こうしたきっかけでもないとわざわざ店だけを目的に高円寺まで行くことはなかっただろう。
ライブの出来や、感想はともかく、店について報告すると、イメージとして考えていたより小体で、また居酒屋と見た場合、カウンター内などかなりしっかりした構成で、正直なところ、古本屋というより、古本も置いてある酒場というのが正しい感じがした。
実際に古本屋の店舗と見た場合並んでいる本自体も多くはないし、きちんとした良い肴を提供していることからも、酒場の方がメインといって差し支えないだろう。ただ、確かに良い本に囲まれて、目の前の本を手に取りページを繰って酒を呑める店という点では、まあ、日本で唯一の古本酒場という“謳い文句”は間違ってはいない。店頭には均一箱も出ているし、本の販売もしているのだ。
店の中に、U字型というか、二列にカウンターの客席があり、その中が狭い厨房となっている。中で店主の方が客の注文に応え、一人で手作りの肴を作って出している。そのカウンターが一段少し高くなっていて、客側の方に向けて本棚になっていて、客は好きな本を読みながら酒を呑み、肴を食べることができるという仕組み。メニューを見る限り、その日ごと準備した旬の素材を用いてのこだわりの品々であるようだから、本と酒が好きな人には嬉しい落ち着ける店であろう。
個人的には、飲食と読書は共に絶対しない主義というか、その習慣で生きてきた者としては、古本酒場という発想はまず思い浮かばないし、考えただけで実際かなりの抵抗があって、あまり足が進まない要因となっていたのだが、やはり百聞は一見に如かず、なかなかセンスの良い店で落ち着けると思えた。客層が良いのか本も状態が良かった。また並んでいる本も趣味が良いし、値段もリーズナブルだと感じた。
ただ、ライブを観る場とした場合、店の奥の狭い通路で歌い手は立って唄い、客はそれをカウンター席から斜めに見るしかなく、試みとしては面白いが、はっきりいって演者も観客もあまり快適ではない。それは改善の余地あるなしではなく、そもそもこの店の構造上無理がかなりあると言えよう。それを覚悟で行くならばライブもまた楽しいだろうし、袖振り合うような狭い店だからすぐ誰もが親しくなれるだろう。手づくりの美味しい料理とこだわりの酒とセレクトされた本がある店は確かにここコクテイルだけであろう。
そのうち、今度はゆっくりとライブのない日に訪れて店主ともきちんとご挨拶せねばと考えている。
★コクテイル店内の画像。一番辛いのは、ライブの間中は厨房の中に屈んでチラッと頭が見えている店主かもしれない。