男らしいってわかるかい、前立腺のことさ
明け方までバカ猫に起こされたりしてろくに寝ていない。今日は親父を車で国立にある前立腺専門病院へ連れて行くので半日時間とられてしまった。二ヶ月に一度の定期健診の日である。
親父は、70代の半ばごろ、肥大した前立腺の除去手術を受けて以降、その専門病院に月一で予後の診察通院が続いて早や10年近くたつ。前立腺がんの疑いで医者も驚くほど巨大になっていた前立腺を削り取ったのであるが、幸いガンは発症することなく、今も定期的に血液検査をして注射を打ちマーカー数値が上がらないよう薬をもらうためだけに通っている。今年に入ってからそれが隔月になったのは、数値が安定してきたのと彼の老化も進み、もういつ何で死んでもおかしくない歳となってきたので医者としてもどうでもよくなってきたからだろう。
前立腺肥大とはいったいどんな病気で症状があるか、女性の方はピンと来ないだろう。女にはない臓器だから。しかし、今日、中高年の男性のほとんどがそれに悩み、場合によっては、ガンとなる可能性も高いので、病院にも大きく書いてあったことだが、「50歳からの定期健診」が重要なのである。
メタボなる、いわゆる腹回りのデブ、肥満も問題かもしれないが、実際本当に当人が困るのはこの前立腺肥大であり、頻尿と排尿困難というのは、かなり辛く、親父を見ていると今でも夜中に何度も何度も起きてしまい、そのため慢性的な睡眠不足となって生活に支障をきたす。
故山口瞳先生もこの病気に悩み苦しみ、「男性自身」では、排尿困難となって救急車で病院に担ぎ込まれる回もあったと記憶している。オシッコがしたいのに出ないというその痛みたるや筆舌に尽くし難い激痛なのだそうだ。
要するに前立腺という部位が加齢と共に肥大してしまい尿道を圧迫して排尿に支障を来たすということなのだが、なぜ歳をとるとそれが大きくなるのかよくわからないし、薬などで小さくする治療法などはないようで、結局上手な医者に外科的に削り取ってもらうしかないのである。天皇陛下も同じ病気で今も闘病中であるぐらいだからこれは国民的、全男性的病気と言えよう。
幸い増坊は近年トイレはだいぶ近くなったものの、まだ夜中に起きたり排尿困難には至っていない。が、そろそろ進行状況を確認するためにも時間が出来たら、検査を受けようかとも考えている。しかし、その検査であるが・・・・一番簡単なのは、医者に肛門から指を突っ込んでもらい大きさを確認してもらうことなのだそうで、いろんな意味でなかなか勇気がいるのである。
親父が診察受けている間、待合室にいっぱい並んだ白髪やハゲの憂鬱な顔した老人たちの顔を見ているうちに、明日は我が身ではあるが、できればここに来るのは一日でも後回しにしたいものだとつくづく思った。