古本屋になってはみたけれど
古本屋になるのは今の時代簡単だ。パソコンさえあれば、店舗がなくても自分の手持ちの本をネット上にアップすればとりあえず“古本屋”にはなれる。
むろん本格的に買い取りとか始めて店として大規模な展開を図るのなら、それなりの免許がいるけど、まずは、本をサイトで並べれば古本屋の“ようなもの”にはなれる。一応、自らのサイトを設け、古物商の免許も取って、店をインターネット上に開店したのが2003年の初夏のことだ。当初はまったくの無名、というか、検索サイトにも載らないから当然全然どこからも反応が無く、ようやくぼちぼち注文がくるようになったのは、その年の冬の初めの頃だった。それからしだいに軌道に乗った、と言えればよいのだけれど、個人の店で、もちろん本の数にも限りがあるし、客のアクセス数もほとんど牛の歩みの如くで、それなりの努力を怠っていたせいもあるけれど、在庫の数は増える一方でも売れる方ははかばかしくなく、さすがの暢気者も焦ってきてこのままではヤバイと考えるようになった。
そんなとき、客として知り合った、同業の人から、Amazonマーケットプレイスへの出品を勧められた。そしてそこで実用書を中心に在庫を並べ始めたら、ほぼ一日に一冊以上の割合で本が売れ始め、ようやく3年目にして小遣い程度の余裕が生まれるようになってきた。それが去年の夏の終わりの頃からだ。儲かったと胸をはって言えるほどではない。ともかく多少は古本屋としてまがりなりにも売るリズムが生じたという程度だ。それでも自店舗だけだったら、たぶん、3年目にして行き詰まり撤退宣言をしていたかもしれないと思う。その意味では、Amazonと誘ってくれた水戸の知人には感謝をしなくてはバチがあたる。でも今後の課題はいかにして自分の店で自分の力で本を売っていくかということだ。アマゾンで実用書など買ってくれた人には悪いけれど、それはあくまでも余録のようなものであって、本当にぼく増坊が売りたい本ではないからだ。ではいったい本店ではどんな本を売りたいと考えているのだろうか。