8月の備忘録
台風一過。
台風9号は、本日未明、小田原辺りに上陸し、そのまま北上し、おそらく東京多摩地区を通過して行ったと思える。夜半過ぎからは一時かなりの雨風が吹き荒れ不安になったが、一晩明けて台風直撃のわりには、幸い今回は大した被害はなく、――もちろんボロ家だから台所などは雨漏りで水浸しとなったものの、今はただほっと胸を撫で下ろしている。バカ黒犬も今回はさすがに覚悟を決めて玄関で一晩繋がれてじっと大人しくしていた。まずは一応ご報告しておきます。
さて、前回、ブログ休止期間中の増坊の「出来事」についてざっと書いた。それだけを読むと、出かけては映画観て酒飲んでるように思われるだろうが、そう思われると心外なので補足して置く。
基本的に、家にいるときは、この夏もほぼ連日家の改築に向けて、ボロ家にあるものを減らして片付けることにひたすら専念していた。長年の間に溜まったガラクタを整理処分し、本類を分類し、アマゾンで売れる本は残し、それ以外の本は、自店舗で売れる本も今はともかく「移動」させ、それ以外の不要本は、ブックオフなどに持っていく。そのための分類整理である。
その移動する本を括ったり運んだりするのには、一人でやるより人手があったほうが楽だし効率良いので、ウチの「社員」を呼んで手伝ってもらう。社員といっても給料を払うわけでなく、実は学生時代からの親友で、今は、世田谷の下宿と水戸の実家をやはり老親の介護のため行ったり来たりしている男がいるので、運ぶ本が溜まると彼の都合に合わせては来てもらい、倉庫に運んではその後に日当の代わりに安い居酒屋で慰労するというのがこの数年の「習慣」となっている。
それにしても今年の夏は暑かった。月末の頃はともかくも月半ばの真夏の移動作業は、まさに灼熱地獄でサウナの中にいるようで、倉庫の中に本を運び込むのも汗が滝のように流れて、30分おきに缶ジュースを飲んでは休憩を余儀なくされ、暑さですぐにヘロヘロとなる。そもそもこんな夏に肉体労働はすべきでないと後悔しきりであった。
それでも今年の夏は映画は大きな収穫があった。好漢エミリオ・エステベスが監督した、ロバート・ケネディ暗殺の一日をオールスターで描いた傑作「ボビー」が早くも私的今年観た映画のナンバーワン当確だと考えていたら、それに勝るとも劣らない映画に出会った。それが、ドイツの新鋭ドナースマルク監督の話題作「善き人のためのソナタ」である。
ベルリンの壁崩壊前の旧東ドイツの実相をあますところなく描いたこの映画は、共産主義体制を批判する人も擁護する人も必見の感動大作であり、あの鬼才ヘルツォークが絶賛したのも頷ける。未見の人必見!
※早稲田松竹で9/8より一週間、おそらく最後の劇場公開予定です。併映は、バーホーベン監督の「ブラックブック」。独のケビン・スペイシーこと、今話題のクリスチャン・コッホ主演の二本立てです。増坊も行けたらもう一回行くかも。