またも民意が反映されないままに
一日あけて参院選挙の結果はすべて判明した。個人的には、改憲論議にスポットが当たらずやや消化不良気味というか、釈然としない気持ちが残る自公大敗、民主党一人勝ちという今回の参院選の結果である。
ただ、自民と公明にはもう投票しないという、国民の怒りが爆発した、良識ある民意を示した選挙結果であることは間違いなく、審判を受けた与党側はその民意を厳粛に受け止めなくてはならないはずだ。
だのに、これだけ大敗したのに、当の最高責任者である安倍首相は、退陣しないし、さらに「改革はこれからも進めていく」と言い張るのだから呆れるのを通り越して、国民を愚弄するのもいいかげんにしろと言いたい。
一昨年秋の、郵政民営化の是非を問うた、小泉首相の解散総選挙を思い起こしもらいたい。あのときは、国民の多くは、小泉改革なるものを信じて、小泉自民党に一票を投じて、自民党は歴史的大勝をした。自民党の一人勝ちであった。
その結果、一度は廃案となりかけた郵政民営化法案は成立し、間もなく郵便局は一民間企業となって出発するのも間近い。その是非については私的には未だ反対の立場であるし、民営化とは百害あって一利無しだと今も考えているが、それはともかく、それは民意の結果であり、国民の多くがその改革を支持し、その選挙結果がカタチとなったのだから、民主主義に則ったといえよう。
では、今回の選挙はどうか、直前に年金問題という逆風が吹いたにせよ、それだけで、地方の一人区までほとんど自民が落とすことはありえないわけだから、これは、これまでの自公の政治に国民は不信任の意思を示したと考えるべきだろう。だとすれば、その構造改革なる、政治路線をこれからも続けるのではなく、一度退陣するか、小泉前首相のように潔く、衆院を解散して、再度国民に信を問うたらどうだろうか。
大敗しても首相の座はやめないし、国民から不信任を突きつけられた改革路線もやめない。何のために参院選挙をしたのか、選挙結果をあくまでも無視し続けるとは、国民を馬鹿にするのもいい加減にすべきである。このまま例によってずるずるダラダラと曖昧に引き延ばしていけば、政治不信と国民の怒りは頂点に達するであろう。安倍首相と自公執行部には、政治家以前に人として品性のかけらもない。
こんな奴らに教育再生も憲法改正も語る資格は絶対ない。