8ミリ映画について・補足
今や風前の灯である8ミリフィルムであるが、説明が足りなかったかもしれない。
わずか8ミリ幅のフィルムを使って映画が撮れるというと、デジタルならともかくも不思議な気がする。が、元々はこれは、16ミリの映画フィルムを流用して、家庭用8ミリに仕立ててたものであり、最初の頃の8ミリカメラとは16ミリのフィルムを使っていた。
それをダブルのフィルムといい、増坊が子どもの頃、手にした最初のカメラはそのタイプのだった。フィルムの形態は記憶にないのだが、カメラは電池式ではなく、手巻きのゼンマイ式で、片面を撮りおえると、フィルムの向きを入れ替え、また片面で撮影する。おそらく現像所の方で、それを8ミリ幅に裁断するのだと推測する。W幅だからダブルといい、それが8ミリの当初の姿だった。
その米国製カメラは、父が進駐軍に勤めていた関係で払い下げで手に入れてきたのだろう。取ったフィルムもそのダブル用の映写機ももはや手元にないが、カメラだけは今も持ってるので、後ほど画像をアップしておく。なかなかレトロでかっこいい。
それに対して、最初から半分の8ミリ、シングル幅だからシングルといい、今期で参院議員を引退した扇千景さんもCMでカメラを手に宣伝していた「フジカシングルエイト、私でも写せます」という名コピーが思い浮かぶ。
フジカ、つまり富士フィルムのシングルという形式は、この会社の発案だったのだろう。昔のワープロのインクカートリッジのように、二つのリールを一体にパッケージ化したものであった。しかし、いきおい、そのサイズから時間の制約があり、せいぜい3分強しか撮影ができない。
高校生の頃の記憶だと、昼間用のフィルムを安いとこで買って単価は約800円強で、現像代が約500円か600円ぐらいしたかと思う。約3分間撮影するのに、1500円近くかかるのは果たして安いのか高いのか。
それと、大事なことだが、当然ダブルのカメラとシングルのカメラは互換性はない。フィルムの穴の位置も違うから映写機も違うし、ダブルはともかく画角もシングルに比べるとかなり狭かった。また、シングルタイプでも、コダック社のスーパー8という形式と富士フィルムのシングル8とはフィルムも異なりカメラも互換性はまったくなく、8ミリを撮る者は、シングル8派とスーパー派に分かれてしまっていた。が、それは国内での話で、海外では、スーパー形式が主流で、信じられない話だが、未だヨーロッパの観光地ではそのスーパーの8ミリカメラを回している人を先年見かけた。
幸い、ダブルとは違いシングルは、映写機はスーパーだろうがシングル8であろうが互換性がある。今でもまた8ミリを撮りたいと思うし、今現在ならまだかろうじてそれも可能なわけだが、それは単なるレトロ趣味でしかないのだろうか。
いずれにせよ、今はその時間が全然なく、生活と日々の雑事に追われて一日が慌しく終わる。そんなことを言い訳にして撮りかけのままに、かつての映画はいつか完成させるぞと思いつつ20数年が過ぎてしまったのだ。