日本でもっとも緩い自由なコンサート「春一番」。
これは、昨年も強く感じたことだが、春一番の魅力とは、出演者もさることながら、その会場自体がかもし出す独特な雰囲気だろう。あんなに何でもアリの自由なコンサートはおそらく今では他にないのではないか。
ご存知のように、近年のコンサート、特に野外フェスなどでは、興奮した観客がステージに殺到するのを防ぐために、前方、ステージ下に警備員を並べて配置して、客は無表情に威嚇する警備員と対峙しながらライブを観るというのがほとんどだ。許されるのは、終わりの頃に、自分の席で立ち上がって手を叩くぐらいで、下手に会場を走り回ったりうろうろしてると、警備員に制止されてしまうこともままある。
ところが、ここ春一の会場内では、客席での酒、タバコ、飲み食いはもちろんのこと、酔っ払って野次を飛ばすのもステージ前面に出て、観客の注視を集めながら勝手に踊るのも、演奏中に席を立って移動することも誰も文句は言わないし言われない。そもそも椅子席の後方は、芝生の自由席で、そこで焼肉は確認していないが、テーブルを持ち込んでステージそっちのけで宴会に興じている人も多いし、コンサートといってもその楽しみ方は各自それぞれの自由で、主催者も含め誰が何をしようが咎めたりしない。そこが素晴らしい。あれだけの規模で雇った警備員が一人もいないコンサートは他にないと思う。
よちよち歩きの子供はもちろんのこと、車椅子の人たちも今年は多く、例年通り犬を連れて来た人もいた。カメラ撮影や録音などは本当はいけないことなのだが、厳しく取り締まってもやるだろうしと半ば黙認されて、「著作権云々言うよりも出演者に迷惑になるからなるだけひかえてコンサート自体をもっと楽しまんと」と阿部ちゃんが時折マイクで言う程度だから、勝手ながら今年もこのブログに書くための写真や音声をこうして沢山録ることができた。
特に春一が素晴らしいと思えるのは、出る人と観客の境が一切ないことだ。俗に観客と一体となったステージなどという言葉があるが、ここ春一においては、出演者は自分のライブでないときは、観客席で他の出演者のライブを観たり、飲んだり食べたり時に観客と共に踊ったりしている。だから彼らに話しかけることも一緒に酒を飲むこともできるし、一緒に写真を撮ったり誰でもアーチストと身近に触れ合うことができる。ライブハウスはともかくそんなコンサートが他にあるだろうか。
春一番の会場にいると、それだけで「自由」のあまり気が遠くなってくる。幸福感に包まれて陶然としてくる。おそらく昔はコンサートなどみんなこうだったのだろう。ところが年々管理が厳しくなって、何かあったとき責任を問われるから主催者は警備員を導入し厳しく目を光らせるようになってしまった。でもそれは楽しいコンサートやロックやフォークという音楽とは正反対にあるものだ。もし、貴方が何かに行き詰って、自由というものに憧れたならば、是非いちど春一に来てみればいい。
♪春一番の風は、ヤンガース・ファームへと君を連れて行く のである。
★初日
THE・VOICE&RHYTHEM with
北京一。