おまけとして岡林の本を一冊
本のブログでもあるはずなので、最後に彼の書いた本で一番新しいやつを一冊紹介しておこう。
2005年11月に出たこの本は、今一番新しい岡林の肉声が詰まっている。帯によると、「フォークの神様の人間宣言。――伝説の闇から抜け出した岡林信康が肩ひじ張らずに綴った日々のあれこれ。今でこそ語れるあの名曲のエピソード。折にふれて考えたこと、思い出尽きぬふる里の話など満載。自作の楽しいイラストつき。」
読後感は、名曲「手紙」などの作曲裏話などは興味深いものの、彼という人間の底の浅さがイラストも含めて鼻につき、最後までうまく説明できないイメージと異なるような違和感が残る。ただ、増坊が想像したとおり、教会音楽との関わりを彼自身が幼少期の環境を振り返って認めており、やはり、と掌にぽんと落ちた。さらに改めて感じたことだが、岡林はよくも悪くも昔も今も全く変わっていない。つまり「軽薄」ということだ。彼は軽薄故に真摯に深く傷つき、行動の幅が大きい人なのである。言うならばピュアということだ。不思議なのはそんな人にあれほどの優れた楽曲が作れたことである。モーツアルトや三島に見るように、作品と作者はまた別のものだと考えるしかないのだろうか。
それはさておき、岡林信康の音楽世界、今も昔もきちんと正当に評価されていないことを心から残念に思う。今こそ、今だからこそ岡林なのである。