国立市JR南武線谷保駅の近くに、“たべ・のみ・スペース”『かけこみ亭』というロック居酒屋がある。定期的にライブもやっているそうで、増坊にとっては隣町程度の近さなのだが、名前は聞いていたものの実は友人に今回のライブの話を教わるまで足を運んだことはなかった。
この店で、三上寛が言い出しっぺに、“高田渡さんを偲んで”と題して4月16日の命日を前に、ゆかりあるミュージシャンが集い一周忌ライブが一昨日4/8日行われた。しかし、限定40名事前予約のコンサートだったため、増坊はかろうじて申し込みに間に合ったが、見に行けなかった人も多いはずなので、当日の模様を二三回に分けてお伝えしたい。これのどこが古本屋のブログなのかと異論もあろうが、それはこれとして、昨年の小金井公会堂の渡の追悼ライブの縮小版といったおもむきがあり、このコンサートもふれないわけにはいかないのである。
さて、当日の出演者なのだが、出た順に紹介すると、
花&フェノミナン
斎藤哲夫
シバ(三橋誠)
高坂一潮(こうさかいっちょう)
宮武希(みやたけのぞみ)
中川五郎
三上寛
全員
という小さなライブハウスにしては実に豪華なメンバーで、開演の夜6時から10過ぎまで、延々4時間以上も休憩なしで各自約30分づつ次々と登場し、終演後は観客一体となっての飲み会となった模様だが、増坊は、用事もあったので、桜散る大学通りを国立まで心地よい疲れと心の昂まりを抱えて歩いて帰った。懐かしい人々と再会し最高の宵だった。
各ミュージシャンについて簡単な解説のようなものを書こう。
オープニングアクトの
花&フェノミナンは最近はライブハウスにはめったに行くことのない増坊にとって、寡聞の初バンドだったが、この店をホームグランドにしている地元のバンドだそうで、メッセージ性の強い粘りある骨太のフォークロックバンドだった。お爺ちゃんとお婆ちゃんと息子とその嫁とその子供(孫)までステージに上がる家内制一族バントだそうで、意外な掘り出し物だった。
次いで、増坊はその音楽性を高く評価している大ベテラン
斎藤哲夫。トリビュートアルバムに収録された渡の曲から懐かしの名曲『吉祥寺』まで、昨年の公会堂では1曲しか聴けなかった彼の高音、斎藤哲夫節は健在でホロリとさせられた。近年また音楽活動に専念しているようなのでこれからも大いに期待したい。♪“グッドタイムミュージック歌ってよー”
そして、日本サイコーのブルースシンガー、
シバ。普段は無口でブスッとしているイメージが強いが、この日は気のあった仲間たちとの集いのせいか、多弁で終始にこやかだった。それにしても必殺ギタープレイはいよいよ磨きかかって、昔、30年前、高校生の頃に吉祥寺にあった伝説のライブ喫茶『ぐわらん堂』で彼や渡、友部正人を間近に見た頃を思いだし胸が熱くなった。
次いでの登場は青森の
高坂一潮。三上寛がらみの縁なのだと思うが、この人も知らなかったけれど、この店にはよく出ているようで人柄そのままの暖かくて素朴なステージで観客を魅了した。メッセージ性強い歌詞を綺麗な親しみやすいメロディーに載せて歌う人で、決して奇をてらう新味はないが昔ながらの伝統的日本のフォークシンガーであり、深く心に刻まれた。近く、なぎら健壱撮影のアルバムも出るそうで、これからも注目していこうと思った。※左側の人はスチールギターのてっちゃんで、最近こうしたコンサートでは常にサポートとしてよく見かける芸達者なミュージシャンである。今回写真写りが悪くてすみませんが、クリックするともう少し大きく鮮明に見えると思います。《次回へ続く》