本もまた投機の対象となる話
世の中には、昨今話題になっている本がある。そうした本はたいがいがベストセラーであることが多いが、まだベストセラーになっておらず噂のみが先行している「話題の本」もある。
これから“話題の本”というカテゴリーを設けてそのときどき巷で話題になっているそうした本を取り上げていくことにする。第1冊目は、『グレアム・ヤング 毒殺日記』だ。
★アンソニー・ホールデン著 高橋啓訳 飛鳥新社 1997年刊 ¥1500
さしずめ今日、2005年11月の時点で今もっとも話題となっている本といえば、この「グレアム・ヤング 毒殺日記」だろう。別にこの本は発禁でも出版されなかった本でもない。1997年に、大手出版社から出された本だ。だが現在は絶版扱いで、新刊としては流通していない。そんな本だが、今の時点ではおそらく最も需要のある本だと言えよう。
理由は説明するまでもないことだが、巷のニュースを賑わしている怪事件、実の母親に毒を盛って殺害しようとした化学好き女子高生が愛読していた本だからだそうだ。事件の真相はまだ捜査段階で、未だ明かされていないのだが、先行するマスコミ報道だと彼女自身が自らのブログだか、サイトでこのグレアム・ヤングが起こした事件に大きく影響を受けたと告白しているらしい。そんなワケで、この本の題名が週刊誌やスポーツ紙で、報道されたとたん多くの人が求め始め、あいにく今は絶版となっている本であったので、この本を在庫として持っていた古本屋に問い合わせが相次いだ。そして、アマゾンなどでも突然値段がつり上がり、今や払底している状態なのである。
★ちなみに、本日11月11日の段階で、アマゾンマーケットプレイスでは、全部で7冊出品されていて、下は3000円から、最高は6470円の価格がついている。