話題作二本立てだったが…
今週の飯田橋ギンレイは、ウルグアイ映画『ウイスキー』とウディ・アレン久々の自作自演全力コメディ『さよなら、さよなら ハリウッド(HOLLYWOOD ENDING)』という異色のカップリング。どちらも前評判は高かったから期待して観に行ったが、感想は正直なところどちらも「うーむ……」という出来で残念ながら不消化感が残った。
まず、南米の小国ウルグアイから初めての映画という珍しさがウリでもある『ウイスキー』だが、果たしてこれはコメディなのか悲劇なのか、面白いのかつまらないのかそれすらも良くわからない不思議な作品で困惑してしまった。要するに、言語が違えば人の思考形式も感覚も違うごとく、そもそも我々が慣れ親しんできた映画言語が違っているのだ。おそらくスペイン語圏の人やその自国や南米の人には通じる世界なのかもしれないが、今日のアメリカ映画的スピードや感覚に慣れ親しんだ日本人にはただただ???ではないだろうか。登場人物たちの設定から舞台となっている靴下工場やリゾート地のホテルまで興味深く珍しいとは思えるが、その映画自体の言語が解読可能なのでユニークな価値ある映画だという以外にコメントのしようがない。
そして、もう一本のウディ・アレンだが、これは近年の彼自作自演にしては思ったよりよくできていた。このところの不調を脱出した起死回生の意欲作だと思う。だが、あまりにベタ過ぎないか。詳しくは次回で…
★『ウイスキー』より。
ちなみに何故「ウイスキー」なのかというと、ヒントは日本人なら「チーズ」、韓国人なら「キムチ」。写真を撮るときにカメラマンは相手に何て言うかだ。