日本最高のハイキング~お鉢巡り
だらだら今夏の富士登山について書いているうちに9月に入り季節も変わった。
歴史的?衆院選も終わったと思ったら翌日は台風襲来で、壁を取っ払ってしまった我が家はあちこち雨風が吹き込んでちょっと大変だった。今月中に大工をつかまえて早く工事開始としたいものである。台風が来るとふつういつも蒸し暑くなるものだが、何故か昨日今日と肌寒いほどで、今年は秋冬がくるのが早いのかもしれない。いろいろな思いが駆け巡り、今年も残すところ四ヶ月だと考えるとさすがに焦る気持ち、気が急くものがあるが、ともかくまずは自分のこと、家のことを優先させて少しづつでも進めていこうと思う。
さて、富士山の話、山上でご来光を拝むところまで書いたので、もう終わりにしても良いようなものだが、意外に知られていない山の上の光景も報告しないとならないと思い至った。噴火口の中の様子や、火口を取り巻く淵というのか外輪のこともどんなであるのか登ったものしか知らないはずだ。自分もそれまでまさかこんなになっているとは想像もしていなかったのだから。
我々一行は、富士山に登り山上でご来光を拝んだと書いた。しかし、実はまだ本当の山頂、日本最高峰3776mの地点には達していない。おそらく3700mは超えたかと思うが。どういうことか詳しく説明する必要がある。
富士山は、地上から仰ぐと、ご存知の如く、台形というのか、三角形の突端、上の部分がスパッと切り取られたような姿である。他の多くの山、例えば日本アルプスの山など山頂はごく狭く、人が数人しか立てない山もあるというのに、その山上の部分は富士は非常に大きい。しかも真っ平でもなく、実は山上だけでもかなりの高低差があり周回一時間半もかかる広大なハイキングコースなのである。そのクレーターのような噴火口の周囲をぐるっと一周するコースを「お鉢巡り」と言う。富士登山とは、これも含めないと本当の山頂、日本最高地点には辿りつけない。
説明不要と思うが、富士は真ん中に噴火口を持つ火山であり、お鉢巡りとは、その火口の淵をぐるっと一周することを指す。現在はその火口は静まり返って、巨大かつ深いその穴を覗くと、下の方にうっすら雪が白く残っているのが見えるだけだ。しかし、万が一落ちたらたぶん自力で上がることは絶対不可能と思える蟻地獄のような形態で、柵もないところが多く、高所恐怖症の自分は近づくのも恐ろしく卒倒しそうになった。まあ、その穴を覗くことこそ富士に登った者のみの特権なのであるが。火口の大きさは東京ドームがいったいいくつ入るのだろうと思えるほどでかい。
しかもその鉢の淵には大小八つのピークがありかなりのアップダウンで4000m近い高所では心臓に負担がだいぶかかる。だが、苦しくともぐるっと一周すれば富士を基点として東西南北360度のパノラマが体験でき、前回は雲もほとんどなかったので、眼下の海や房総、伊豆、三浦の半島や伊豆の島々、日本アルプスの山々、八ヶ岳まで全て手に取るように見えて、まさに神の領域に達したようだと感激した。
今回は雲が多くそこまでくっきりと下界は見えなかったが、雲海もまた素晴らしく、まさに 頭を雲の上に出し た富士の素晴らしさを堪能することが出来た。ずっと天気も下界では悪かったのに、今回も好天に恵まれ実についていた。
★一歩足を踏み外せばそこは富士の噴火口、奈落の底である。
★これが富士の火口内部。うっすらと雪が残っている。巨大なすり鉢なのである。
★思わず引き込まれそう・・・。向こう側高くに見えるのが元の富士山測候所がある剣が峰。そこが日本最高地点なのだ。
★こうして火口の淵をぐるっと時計回りに回っていく。かなりの距離と高低がある。