トイレと本の関係についてもう少し・・・
昨日の続き。どうしてトイレで大の用を為すとき、読むものが必要なのか。
簡単に言えば増坊の単なる悪習に過ぎないのだが、拙宅のトイレでは他の家族はどうかはともかく、座って必ず何か読みながら用を足すという習慣が定着していて、結局、狭い家の中でトイレの中が一番落ちついて本を読むことができる書斎の代わりの個室となってしまっているわけだ。本を読まなくても周囲の壁には関東地方の地図とか、日本アルプスの山岳地図などが貼ってあり、常に何かしら目にしながら用をたしていることは間違いない。だから、条件反射的に、ウンコと本、いや文字、いやいや、何かを読むというその行為が一緒にならないと排便できないよう体がセットされているらしい。恥ずかしく情けない告白だ。自分は同性しか愛せない、とカミングアウトする方が今の時代恥ずかしくないような気がする。まあ、筆者の性的嗜好については別の機会にゆずるとして、このトイレとウンコについての特殊な習癖は筆者だけのものだろうか。
舞台美術家であり、特異な俯瞰図イラストによるレポートで知られる妹尾河童さんの数多い「河童が覗いた」イラストレポートシリーズの中でも一際異彩を放つのが、1990年に文藝春秋から出た「河童が覗いたトイレまんだら」という本で、タモリや椎名誠、和田アキ子ら各界著名人52人の自宅のトイレを拝見し、お得意の俯瞰(上から覗いたように)イラストで克明にレポートした怪著!なのだが、その中でも決して多くはないが何人かのトイレには本が少なからず置いてあり、どうやら増坊と同好、同病の士が世間には少なからずいることを知って安心したことがある。
一頃、巷で話題になった、本屋にはいるとウンコがしたくなる、という発作?も何か今回のテーマと大いに関係があるような気がするが、長くなるので今は考えないことにしよう。恥ずかしい話、尾籠なことを書いて申し訳ない。
●河童が覗いたトイレまんだら 妹尾河童
文芸春秋 初 1990年
★ご存知河童さんの俯瞰詳細イラスト入りで各界52人の著名人の自宅のトイレを覗いた記録集。その覗かれた人たちとは、表紙の田辺聖子を始め、椎名誠、山口瞳、野坂昭如おすぎ、タモリ、和田アキ子、赤瀬川源平、荒俣宏、藤森照信氏ら作家・タレント・化人。トイレを通してその人柄の意外な一面が明かされる。一家一冊、トイレに一冊の好著。※初出は週刊文春に89年から一年間各一件ごと取材連載されたもの。