もう一つ別な生き方もあるかもと
このブログでは、かつては政治のことやら世相のことなど、自分が思うところを勝手気ままに書いてきた。しかし、いろいろ思うところあって、自主規制したというわけではないが、意識的に書くことを控えるようにはしてきた。というのは、限られたスペースでは、一番書きたいことを常に最優先にせざるえなく、それは今の自分にとって音楽のことであり、昨今の政治状況、例えば麻生太郎の天下の大愚策、定額給付金などについては言いたい事も当然あるが、あまりにバカバカしく、わざわざ自分が書く必要もないと思えるからだ。バカと付き合ってるとバカになる、という格言が事実ならバカについていちいち書いていたらばきりないし、ほんとバカバカしい。
それでも今日の不況下における就職や雇用状況について個人的に少し思うことがある。こんなことを書くべきか大いに迷うし、書かないほうがトラブルにならず、結果面倒にならないとわかってはいるのだが。
昨年秋口からの急激な不景気で、様々な職種で、派遣労働者が突然解雇されたり、就職口自体が極端になくなっていることは事実として大問題である。そして、大卒の新規採用でも、どうやら就職難らしく、内定が取り消されたりして大変だと報じられている。
しかし、そうしたテレビのニュースを見るたびに、自分としては、今の人は皆学校を出たらばきちんと就職したいんだなあ、と自らと比べてその違いに違和感のようなものを常に感じてしまう。
それが当たり前だと思う人は以下読まないでもらいたい。
自分も一応は三流私立大を出たが、結局は就職活動などしたこともないし、いくつかの会社勤めはしたものの、サラリーマンとか、定職に就いたという意識は一度たりともない。もし、大学を出て、学生時代から就活に励み、望む企業に入ってそこで長く働くという道がまっとうな堅気だとすれば、自分は常にヤクザであり、フリーターなどという言葉もない頃から、ずっと非正規雇用というか、不安定な仕事でとりあえず喰ってきた。
そして結果食い詰めて、今では実家で、親と暮らしながら、ネット古書店やら、あれこれ怪しげなことをやりながら何とかかろうじて生きている。結局、貧乏からは抜け出せず、ゆえに結婚もできなかったのかと、今にして思うところもあるが、では、後悔しているかというと、全くそんなことはない。
自らの不徳の致すところだという反省の気持ちは大いにあるが、かといって、タイムマシンで大学時代に戻れたとしても、就職活動に励み、大企業に入りたいなんて今も昔も全く思わない。そもそもそうしたシステムが嫌で、つまり9時から5時の勤め人が嫌だから、自らドロップアウトしたのだと思い至る。
それは、ビートルズが教えてくれたことでもあったし、当時のカウンターカルチャーの風潮によるところも大きい。何もサラリーマンになるだけが正しいわけでもないし、もっと別な自由な生き方がもっと沢山ある、と当時は多くの若者が思っていたのだ。実際叢書として「就職しないで生きる」ことを説いた本だって多く出ていたのである。
自分はバカで怠け者であったから、そうした風潮に乗っかって、就活に必死になっている友人たちを嘲笑い、大学生活は十分すぎるほど遊び尽くしたのである。そして今になっていろんな意味で苦境に陥っているのは、自業自得なわけで、まあ、もっときちんとした堅気の生活も良かったかと思わなくもないが、自らの性格を思うと、どっちにしろ企業とか体制の中で大人しくうまくやっていけるはずもなく、同じことだったようにも思えるわけで、ならば最初からこの道を選んだのは正解だったのではないか。
そうした元祖ヤクザ者の目で昨今の若者たちを見ると、どうしてみんな学校を出たら会社に入ろうと必死になっているのか不思議でならない。そして、もし、入れなかったとき、その人はどうするのだろうか。じんせいの選択肢とはそれが一番正しいのだろうか。就職とは、=会社勤めと限らないはずと思うのに。
もちろん、将来のことを見据えて経済的安定という基準で考えれば、大企業や大手の会社に入ることが一番幸福へのパスポートなのだろう。それはわかる。また、その会社でやりたい仕事がある人はその会社を希望すれば良い。しかし、それ以外の選択肢も当然あって然るべきだし、何も就職だけが唯一の生きかたではないだろう。
では、お前は、きちんとした堅気の会社員に比べてどれだけ喰えているのか、それで苦労はないのか満足かと突っ込まれる。反論も言い訳も全くできない。しかし、人生とはその人のもので、当人しか責を負うことのできないものなのだから、自分はこれはこれで良しとしたいし、反省はしても納得はしている。実際何だかんだ言いながらも50年以上もこんな調子でフラフラと適当に生きてこれたのである。
そのツケがいつかは出るはずだし、実際、このところの難題問題、トラブルはそこに起因しているとも思う。が、今さら悔やんでも時間が戻らない限り、悩んだり後悔しても仕方ない。どうせもうあと20年ぐらいで死んでしまうのである。苦労するのも自分ならば、こんな生き方があったって良いではないか。人に迷惑をかけなければ。
今の若者に対して何の励ましにも教訓にもならないとは思うが、世の中には就職以外の、もう一つの生きかた、オルタナティブなものがきっとあるとそのことだけは言いたい。まあ、その成功例として見本になれないのが情けないが。
自分の人生なのだ。どう生きたっていいのである。人にあわせる必要はない。世間一般が必ずしも正しいわけではない。
気がつけば、自分の周りには、そんなヤクザ者ばかりで、皆食えなくてピーピーしぼやいてはいるが、それぞれが自由勝手に好きなことをして、まあ何とか生きてはいるのだ。それは自分だって同じことで、お前は恵まれている例だと言われればそうかもしれないが、気の合う友人と良い本と素敵な音楽さえあれば喰えなくともとりあえず生きていけるのだと思っている。願わくばこれからも。
冬が来てキリギリスは困っただろうが、好き勝手をした夏の楽しい思い出があればそれだけでも良いのではないか。